R・リンクイエイター

R.リンクエイターは大したことを言うわけじゃない。舞台もそのへんで、日常的な風景しか使わない。旅先だったりするはするけれど。ダイアローグで展開を組み立てるのが好きなんだろうなと思うし、狂言回しの人物の後ろを話を盗み聞きしながらついてまわるような気分になる。

でもウェイキングライフには参った。

ネタばれになるから説明できないけど、あれは、究極のダイアローグのためのダイアローグでメタダイアローグ映画とさえいえるかもしれない。

見ている私は、まるで幽霊のように、映画世界をうろうろしてしまう?出られなくなりそう?映画制作者たちのつくった、仮想世界、まさにフィクショナルな映画の枠から?ちょっとした恐怖だ。

実写映像にペインティングして、美と醜悪の境界でせめぎあうかんじ、目になじみにくい映像。感情移入しにくく、入り込みにくく作ってあるのは、異化効果を狙っているとか、ビジュアルの実験だとか、あるかもしれないけど、ある意味親切。映画と距離をおけて助かったなと最後に思う。

夜中、仕事しながらちらちらみるのに、いいなと思う。怖いけど。