2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

新宿駅裏 紅とんぼ

演歌の歌詞の世界の話。そのバーの女主人は、今日で店をしめるという。泣き出した常連客けんちゃんに「つけ払いのことは忘れていいわ、みつぐ男もいないんだもの」回収していない呑み代ももういらないのだと、ママは言うのだ。けんちゃんは、ママの悲恋の顛…

ブラジル帰りの数学の先生

学生時代、よくたまっていたカフェがある。夕方から午前2時までの店で、時々行っていた。そこの常連客にブラジルの大学から戻ったばかりの数学の先生がいた。大学の先生というのは年齢がよくわからない。でも結構なおじいさんだったように思う。あるとき、そ…

無理なすずめ

向かいのビルの屋根部分は、かなりの斜めになっている。どういうわけかその斜面に止まろうとする「すずめ」がいるんだよね。ちょっとの間、3秒くらいは斜面に留まっているんだけど、おっとっと・・・とばかりバランスを崩して、ばたばたばた・・・。ずりおち…

庭を食らう

夫の母は、有言実行の人。60歳で運転免許をとり、海外にどんどん出かけていき、かっこよく自立した大人だ。女手ひとつで2人の子を大学まで出したんだから、できる限り元気に人生を謳歌してほしいと嫁ながら思ってしまうのだ。不義理な我々夫婦は、そういつも…

上智の塀にミルクを置く

四谷の上智大学の塀に、誰かが赤いストローのささったテイクアウトのミルクを置きざりにしている。ミルクはずっと見えていてる、私は異常にのどが乾いている、50メートル手前からずっとそこにあるのがわかっていて、いざ、手の届くところまでやってきたら、…

見上げたもんだよ

刷り込みとは恐ろしいものだ。なにか大したことを目撃すると「見上げたもんだよ」と思い、心の中でさらに「屋根屋のふんどし」と続いてしまう。なんとかといえば・・・親も同然とかね。小さい頃末広の寄席で後半にすべりこむと、半額だっていうので、夜遅く…

ギンヤンマの物思い

山に3日ばかりいた。紫外線が強いというのは、すんごく疲れる。何か異常に消耗して、もう少しで蒸発してしまいそうだった。水辺を歩いていると、オニヤンマ、ギンヤンマ、アキアカネ、バショウトンボが飛んでくるが、大きなギンヤンマが、山小屋のガラス窓の…

氷の山

親の古い友人と、子どもが話している。 「あなたのお母さんちょっと変わってるよね」そのまま言葉をお返しします。 「そうだよね、お母さんってちょっと変だよね?」うそ、本気? 子どもというものは、親を「変」だなんて思わないものじゃないだろうか、すご…

ああ、ワンナイ・・・ああ!

「田舎に泊まりたい」というのを見た?と今日会う人ごとに訊いてしまう。だって昨日のワンナイのそれは凄かった。長州小力の無芸を最大限に生かした演出・・・番組で田舎に泊まるという企画だよっていう設定だった。ワンナイのレギュラーが嬉々として、各人…

リミさん

20代のころ、一緒に働いていたリミさんという人がいた。渡来の仏像みたいな美しい顔をして、桔梗の精みたいに青い服ばかりを着ている人だ。「私はあなたの先生、くらいの年頃じゃない?」とゆったりした口調で、時々辛らつなことを織り交ぜながら話す、大…

人に会うのが好きなんです。

人に会うのが楽しくてしょうがない・・・といっている知り合いがいる。その人は、本当にきれいな人で、人間というよりも寿三郎の人形のようなかんじ。背が高くて、思わずちょっと離れて眺めたくなるような人だ。それはそうだろう、とちょっと思った。だって…