だいじょうぶっす!

角度にして20度くらいのすごい坂。

渋谷の桜ヶ丘をくだり、谷道につながる坂。今日、そこを昇ろうとしている人がいた。宅配業者らしい。台車にダンボールを6個、なんだかわからん左右が1.5メートルくらいのじゅうたんみたいな巻物2本、頭の開いたダンボール。登りっぱたでぐらぐらゆらゆら。物理的に無理!数学のできない私だって経験的にわかる。学期末に荷物を全部持ってかえろうとして、荷物を道にまいてしまう小学生くらい、不可能な挑戦だ。

「手伝いましょうか?」「だいじょうぶっす!」そうかなあ?次の瞬間、頭の開いた箱が彼の上に落下。めがねがぴゅんと宙を飛ぶ。めがねも箱も道に放置して、青年は坂をさらに登る・・・3秒後、巻きものがぐるんぐるんと落下、坂下まで転がり落ちる。わずか2メートル登ったところで左に入ると目的のビルらしい、そのカーブは90度、曲がりきれずに台車から6個のダンボールが崩れ落ち、彼は台車の軌跡を追って、荷物をばら撒いてしまった。

どうなったか確かめるには、感受性が限界だったので、私は振り返らず、坂を登った。

だから無理だって言ったのに・・・。