前後ろがはだかんぼのバレエ

「おなかとお背中がはだかんぼのドレスでするバレエはなんていうの?」
なぞなぞじゃありません。

子どもはテレビ画面に鼻が付きそうな距離で熱心に荒川静香さんを見つめている。何度も放送される金メダルの演技を、やがて横目で観察しながら、じゅうたんの上はすべらないので、ポーズだけうっとり試してみている。
フィギュアスケートっていうんだよ」それから何度もふぃぎゅあふぃぎゅあ・・・と練習して、ちょっと深刻そうな声で宣言。
「フィギュアのバレエがやりたい!ドレスを着てくるくるまわるりたいの!」

とにかく形から入る人なので、きれいなもの、華麗なものに弱い。彼女のウェアが子どもの信奉するシンデレラと同じキーカラーなのもがっちり心をつかんだらしい。しょうがくせいになったら、「静香」と改名する!宣言まで。(これは不思議な偶然だけど、親も小学生になったら、自分の名前は好きなように変えられると思っていた。)

小さい子があれはバレエだと思うレベルまで、日本のフィギュアが芸術的になったということなんだろうか?

ティーブン・レイが好きだ。なぜかいつもキャパオーバーな怪事件や、ナゾに巻き込まれて翻弄される。かつては獰猛だった老犬みたいな顔をして、疲れた頬をずるずるひきずりつつ、うんざりしながら、でもナゾをあきらめきれない。ハンターの目をしているとでもいうのかも?善人じゃない、でも極限では、彼の手を選ぶだろうと思えてしまう。どんな育ち方をした人なのか?それはないだろうという話には、必需品みたいな俳優。