ああわらびもち

なんか、けしからんほどにわらびもちが食べたい。あれはなんか欲望という言葉がぴったりくる食べ物だと思う。

というのも、家族全員があまりにも好きすぎて、誰かが買ってくると醜い奪いあいになる。普通は、大人ががまんして子どもには大目に分けたり、子どもには贅沢だからと隠蔽して、夜こっそりお茶にしたりするわけだが、これについてだけは、大人の寛容も、子どもの躾けも、掟知らずになってしまう。みんな「わらびもち」という単語を聞くと、ケダモノスイッチが入って、なんとなく目がらんらんと・・・。

特に、よくデパートで売っているカットの大きい奴。きなこがまぶしてある面がいかにも表面めいているけれど、本体は半透明の「葛」の塊みたいなプルプルした物体で、一口食べると満遍なく淡い甘さの空間にすっぽり感覚がはまりこんだような、あの味わい、テクスチャーはなんだろう!餡なんか入っていなくて、芯のない、何者でもない淡い甘さの連続。終らないでほしい感覚、う、うますぎる!食べるという原始的な作業なのに、純粋に「甘い感覚」だけを脳に直接インプットしたかのような、感覚そのものがゲル化した食品といえるのではないか!

自分でつくるキットもあるけど、あの巨大にして曖昧なゲル上の立方体には拵えられない。想像していたら、もうがまんできないので、これから買ってきます。

そして、誰にもあげないで全部食べてやる!罪悪感もさらにプラス・・・。