校正の人

むかしむかしある会社に「校正さん」がいた。

普段は本を編集したり、ライターをしているんだけど、定収確保のために火曜と木曜だけ広告制作会社だったそこに来て「文字校正」をしていた。彼女は多分当時私くらいで、なぜか馬があって、お昼ごはんを食べたり、時にはお家にまで呼んでもらって、いろいろ話した。なにせしなやかな人で、誰もが一目おいていた。言うことも顔つきも、スタイルもあんまり20代の私と変わらず。ただ個人業者として、シビアで芯の強いところのある人で、こういう独立独歩の大人になりたい・・・といつも思っていた。

今、どのくらい近づいたろうか?白髪交じりのショートヘアで、年齢不詳・・・そこだけは踏襲しているみたい。クリエイティブな会社で、限定的な仕事をパーツで請け負う・・・それもわりと近いところ。一人で仕事をしている40女に与えられる仕事としては、やっぱりそんなものなんだろうか。

彼女は週2回しかいないのに印象深くて、いつもそこにいるような気がしていたもんだった。本当に特別な人だった。十二分に普通に女性のままで仕事をして、マッチョになれなくても、当たり前に働いて生きていけるって、理想みたいだったから。私は根本で女性的なので、そういう道を行きたかったから。

樫の精か、北の魔女みたいなスーパーマジカルな道しるべ。でも、歳ばかりとっても、まだあなたの境地は遠いです。今はどうしていらっしゃいますか?