低音の本屋

ソングラインブルース・チャトウィンの「ソングライン」という本に、砂漠の真ん中で古ベットにすわったままミイラになっている二人のアボリジニの老人の描写がある。死期が近づいたら、人のこないところに座ってだんだんに死んでいくのを待つのだ。壊れたベットに座ったままで。飲まず食わず何も望まず終わるだけ。時がすぎ、だんだんに死んでいくこと、気にせずに死ぬこと。
私には、気にせずに生きるスキルが必要だけれど、それはとても難しい。

今日は人に会う予定がなくなったので、BOOKS246に寄る。今日の店番は深々とハンチングをかぶり、目が見えない。低くて聞き取れないような重低音で静かに話す。なんだかこのかっこいい世界、静かに本を売る男と、本を買う女の微妙なニュアンスを壊してはいけないみたいな気がして、こちらもささやくような声で調子を合わせてしまう。低音の人って静かに話すと聞き取れる音域のボリュームが落ちる。軋むような重低音、そういう声にどうしようもなく惹かれる傾向。低い声と煙草の匂い。抵抗できない。

荒野へ (集英社文庫)子どもは判ってくれない (文春文庫)センセイの鞄 (文春文庫) [ 川上弘美 ]
本日の収穫・・・「荒野へ」は砂漠で死んだ青年の実話。
ほかにも前から読みたかった本があった福岡伸一の「生物と無生物の間」量子物理学?の本だったと思うけど、面白そう、でも次回に。