煩悩の路地裏。

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mssは最近、新大久保に出かける。ごひいきは駅から程近い、路地裏の地下の店。軽やかに階段を降りて、彼女たちに会いにいく。

優美なレディの群。充分高級で手が届かない。つまり、新大久保駅から近い路地にあるベースとコントラバスの専門店。合計10体もの大型弦楽器と樹液の匂い。居並ぶ楽器の間にいると、巨人の国にいるみたいだ。突然縮尺の狂った世界に来てしまった人のような。

そこは夜になると妖しい人影が立つ、なまめかしい大久保の路地裏。ここら界隈は昔からそれとは別の世界もあって、神保町や渋谷に並ぶ音楽マニアのネタ元でもあるのだ。さらに西に行くと、絶版レコードなんかが手に入る音源屋さんも並ぶ。ギター小僧の愛する世界だ。

夏の強烈な日差しが、多分前夜には濃厚に流れていた隠微な空気を焼き切ってしまったみたいに、そんな気配はない。ただ、屋外なのにときどき悪臭がよぎる。それが生木の清冽な香りを放つ、威風堂々一台100万円のコントラバスの世界を際立たせる。

ウットリと眺める壁に嫣然と立てかけられたアンティークのベースギターのなめらかな木の肌、ふっくらとなだらかにもりあがって、女のお腹みたい。それを指ですっとなぞる・・・あ、見ちゃいけなかった。ねえ、その彼女は80万円もするみたいよ?彼には、夜な夜な店の外で営まれる駆け引きより、ずっとエロチックなのかも?いろいろと、大久保は煩悩を刺激する。