西陽のライトボックス

ひと気のない六本木ヒルズ52階、日曜の午後なのに、ほぼガラガラ。

展望台はガラスの箱のようになっていて、360度視界だけに上空の光も自由に透過する。
ある一瞬、西から低い太陽の光が差し込んで、ガラスの箱を斜め半分オレンジに染めた。
「おかあさんがオレンジに光ってる!」子どもが喜んで笑い、私も嬉しかった。

こういう風に光のタイミングと出遭うチャンスに恵まれている。

教会に座っていたら、アンジェラスの鐘がなると同時にステンドグラスから一筋、雨上がりの太陽が差し込んだこともあった。光の矢先がガラスの色をまとって伸びて、床に届くまで、多分何十分の一秒。スローモーションのように目の前で展開するある種の奇跡。

私は光に愛されている。