別れの歌

今日浅田真央がすべっていた。この曲を聞いていると、なんだか人の心のうねりを追っているような気がしてくる。ショパンポーランドへの郷愁と、もしかしてジョルジュ・サンドを思って書いたんだということだけれど。別れを前にして、揺れ動く心というのはどうしようもないものだ。振り子のように、別れと可能性の間を揺れ動く・・・人の心は、予感がしたときにはもう、遠く離れてしまっているものかもしれない。なんども揺れては、振り返し、悲愁がきわまれば、ようやく踏ん切りがつく。ああもうだめか、修復できないか、と諦める瞬間がやってくる。この曲は、そういうどちらかというと、感情の激しい、処理能力を超えた自分の激情に翻弄されるタイプの人が、何かをあきらめる時の心の動きをすごく的確に追っていると思う・・・別れというもの、この世で一番恐ろしいもの。

たまに、無自覚に人の逆鱗に触れて、ポイと捨てられることがある。もう「次」はないとわかっても、なかなか受け入れることはできない。大して近い関係ではない、ちょっとした友達、仕事上の関係、しかも私のような凡庸で無害で、しかも無力な人間をそこまで、恐れて遠ざける意味はわからない。ちょっと「エゴイスト」だからって・・・物書きにそんなこと、ひどすぎる。

別れの予感におののいているその同じ夜に、別の人から連絡がある。カジュアルな仕事の依頼だったけれど。誰かとの命脈が切れても、他の誰かとつながりはじめる。ある意味、幸運に恵まれている。「この人好きだな」と思うとき相手も好感をもってくれていることが多い、それは本当なのかもしれない、と思う。どん底の年末が有頂天に変わる、一本の電話。

エゴイスト!でもまだ生きていける、よかった!と思う。仕事って人なんだもの。