雪の結晶
家にある、子どもの本のおまけの顕微鏡をもって、雪の外へでかけた。
この前の雪の日のこと。
降りたてをつかまえて、結晶をみる。雪の結晶がどんな形をしているのか、知っているけれど、大人だけど本当に見たことはない。ぜひ見なくちゃいけない。
プレパラートの上に落ちた雪は、寒いのでうまいこと溶けず、街燈から採光してなんとか見た。ほんとうにあの形!レースのようなあの、美しい形。
雪がふるための条件といえば、大気温と、湿度、あるかないかわからないくらいの塵が芯になって氷が結晶するってことらしいけど、核がないと起こらない現象なわけだ。でもその核は雪の種は、あるかないかわからないほどのものなんだ。
あるかないかわかんないものを根拠に、美しい造形をしてしまうなんて、人の気持みたいだと思う。今日は、もう雪がなくなって、ロマンチックでもなんでもないただの寒い夜だけど、ちょっとそんな柄でもないことを考える。とくに「他人の気持」なんてほとんどが妄想で、そう思う根拠は塵ほどもないのかもしれない。塵ほどの好意とか、悪意とか、善意とか、何かはあるのかもしれないけど、ほんの偶然だったり、誤解だったりするんだろうか。
思っているより、1人かもしれないと、気づくとぞっとする。