キリストの顔をした男

the jacketという映画が今年公開される。ジョン・メイブリーが監督で、タイムトラベルSF&ラブストーリー&戦争モノ&クライムサスペンス&サイコに死体ロッカーに拘束服にアメリカンなダイナーに壊れた車・・・考えられるお道具をすべて上手につかって、主人公のなんともいえない生きる業みたいなもの、無念みたいなものを結末までにクリアする、まさに映画的な映画だと思った。映画って、エンドマークに向かって物語が消えていくものであるが、この映画はフィルムが焼けるように、光の中に、一切が霞のように消えてなくなる・・・なかなかにお見事。

エイドリアン・ブロディが主役、「戦場のピアニスト」を避けて通っていたので、彼が演じる大きな役をまともに見たことがなかった。どうしてかというと、あのジョルジュ・ルオーのキリストみたいな顔を見るのが、なんとも切ないからだ。木彫りのようなあの顔にぽっかり空いたような目、非業なかんじの佇まい。それなのに、低くてちょっとかすれた声はまるでギャングじみている。両極端に引き裂かれたようなあの俳優は見たくない。画面からこちらを見つめる目さえ、教会の冷たい石段の上から磔姿で私を見下ろしていた、あの男に似ている。幼いころ、カソリック系の学校に通っていた。教会が怖かった。

本日の夕飯
じゃこごはん(にんじん、しいたけ じゃこ 油揚げ だし)と青のリ 肉じゃが わかめの吸い物 ウィリー・ウオンカの板チョコ(レプリカ)