カメラごしに野性をさぐる

新作が出るたびに、驚く。

フランソワーズ・オゾンはまるで幻の野生動物を追うように、根気よく、映画の人物たちの野性を捕まえようとしている。今時のかっこいい夫婦の離婚から出会いまでを逆走する「ふたりの5つの分かれ道」の中で、きれいなシーンだと思うのは男女の交わり。
人目を逃れて、男女がひそかに一対、性的であるときだけが、人間は自然な動物として開放されるんじゃないかと、それが見たいのだと、こういうセンスって監督の彼がゲイなのも関係あるかもしれない。

考えない、ただ、欲望に身を任せるなんてこと、絶対しない。人として社会的にはなんとか生きてはいるけど、なんかこういう映画を見ると、生物としては、精一杯じゃないなあ、いい加減だなあ、と思う。フランス人じゃないんだから・・・って思うのは偏見?

たまにはけもの道に外れる、社会的にセーフな領域で?それを逸脱して?