標高は2000メートル以上ないと・・・

標高の高いところが好きだ。2000メートルを超えると、空気の匂いがかわる。頭がだんだんはっきりしてきて、低地にいるときより、気の効いた人間になったような気がしてくる。

ひょっとしたら世界で一番好きなものは、焚き火かもしれない。長い山の夜、木が燃えるのをじっと見ている、燃え具合を加減したり、木を足したりしてるだけなのに、3時間くらいはあっという間にたってしまう。テレビの原型はこれじゃないかと思うくらいだ。オゾン層のためには焚き火も考えるべきなのかもしれないけれど、真っ暗な草原にすわって、パチパチと火の子がはぜたリ、熾火がめらめらと揺れたり、突然とんでもない方向からぼっと火柱があがったりするのを、それは薪の一本におこっているにすぎないけれど、目をこらして、じっと見てしまう。山は静かで、耳を圧するような静寂・無音の世界だ。ただ木が燃え、暖かく、たった一人でいる・・・至福とはこういうことだろうと、毎年思う。

もう家族はテントですやすや眠っている、夏とはいえ夜中は寒い。でも結局薪のつづくだけ、すっかり燃してしまわずにはおれない。

街での暮らしも、できるだけ標高の高いところに住むことにしている。