らっきょうの最期

伯父が他界した。

93歳での大往生で、苦しまず、安らかに眠るようになくなったのだそうだ。
お顔を見に行ったけれど、仏さんのように穏やかだった。

しみじみお顔を見ていると、なかなかの好男子だったのだと思った。ダンディで、お洒落で、生業も人となりもあまりよくわからない人だったけれど。伯父だの伯母だのという、時々会うような親戚は、死なないものだと思っていた。会わなくても、どこかで生きているものだって。でもやはり死ぬときは死ぬんだと思うと、恒常なんていうものは、カンタンに崩れるもんだ。

何かが、やっぱり終わってしまったんだろうなと思う。

伯父は名取洋之助と同窓だったそうだが、戦争をくぐりぬけて生きてきたデカダンで洒落た日本人は、どんどんいなくなってしまう。