2046

ウォン・カーウァイのナゾ読み解くには、どんなキーがいるんだろうか?特に通な知識のないまま、ムードだけのために、あの世界でぼんやりしたくて、よく見る。私の中ではクラピッシュとかと同グループ。ロシアン・ドールはどうだったのかな?あいかわらず、ぐだぐだしているんだろうな、楽しみ。

一番好きなのは「欲望の翼」で、あの青いジャングルというのは、映画はずいぶん見ているけれど、なかなか出会えない風景だった。その後、足のない鳥は、本当に着地予定のない飛翔を試みてしまった。

ティム・バートンみたいに?おませな少年のカーウァイは、ああいう歌謡曲のような雰囲気の大人の世界を想像していたんだろうか?カードあわせのように、男と女がいて、つながりが果てしなくつづいていくような。香港の雑踏ですれ違うことも含めて、袖をすりあうアジアの都市の熱、生暖かい雨の非情さ。だから異様に天井の低いシンガポールの賭場で、身支度をしていた男の時間軸は2046の領域に入りこみ、ミミと出会うんだろうか?見せかけだけは時間が流れているように見えても、ピースはわざとばらばらに組み合わされている。映画なんだもの、時間なんて小道具でしかない。

夏になると、欲望の翼恋する惑星花様年華〜2046を徹夜で見つつ、ビールを呑んだりする。順番を変えて見るとなんか発見がある。あの中でどの人が好き?ってきくと、その人の恋愛パターンがなんかわかると思わない?私はダンゼン、フェイフェイ。ごはん食べてる633に屋台で声をかけたら、「だれ?」って顔をされるシーン、いいな、彼女、かわいい。カーウァイの描くカップルは俳優=キャラのカード式だけど、あの組み合わせ(フェイとトニー)は、なんかいつも救いがある。どこか違う世界へ行こうとする女と、躊躇する男、時間が早く流れ出す、驚いて男が思わず顔をあげる。明るいし、未来がある。

好きな映画をあげればきりがないけれど、「麦秋」と「キャプテンスーパーマーケット」は外せません。特に原節子がケーキを食べるところと、女のゾンビがスーパーの店内を飛んでくるところが好きです。