アルノー・デプレシャン

はじめて日本で上映された映画が180分くらいの長い作品で、フランスの大学関係者の群像劇だった。「そして僕は恋をする」という秀作。とにかく日本で見られる彼の映画は、全部見たはずなんだけど、新作の「キングス&クイーン」は見てない。見なくちゃ!

その「そして・・・」にも出て、目だっていた二人が、今度は主役らしい。あき竹城と、嫌いな伯母に似た女優エマニュアル・デュボスと、繊細で美形なテナガザルみたいなマチュー・アマルリック。デプレシャンの映画というのは、いろいろ一応のエピソードはあるけれど、人物と風景と、そこでおこる事柄がかもし出す空気を味わうような、彼の織り出す時間を楽しむ映画のように思える。もちろんプロットの面白さとか、スリルとか、ラブとかいう刺激を映画に求めるのも嫌いではないけれど、私には映画は、娯楽というよりやや真剣なものなので、こちらの期待する時間を提供してくれる、見ているとベルトコンベアのように考えをある場所まで運んでくれるようなゆっくりした映画が好きだ。「エル・トポ」とか「奇跡の丘」とか、「ウィトゲンシュタイン」とか「ブックオブデイズ」とか「羅生門」とか「雨月物語」「ママと娼婦」それにトりフォー・・・「メアリーポピンズ」も「オズの魔法使い」も「雨に唄えば」「ファニーフェイス」「第三の男」「秋の恋」・・・まったくきりがない。でも、最近そういう映画ってスクナイ。あ、忘れていた、あった。地面から浮き上がることのできる男の話、「ユマニテ」って映画だった。

エマニュエル・デュボスみたいな女優がどうして美女なのか?あのボリュームとアンバランスを美しいと思う人は、泣き顔が好きなんだろう。デフォルメしなくてもキュビズムっぽい?フランス的なセンスなのか?崩れそうな顔とでもいうのか。紙一重で醜いといわれてしまうそうな、脆い顔立ち。でも彼女は、映画でヒロインを演じ、「美しい」という認識の方を自分に引き寄せてしまう力がある。

とにかく「ロシアン・ドール」とこれは見なくては!ロマン・デュリスだし。
同じスペルで「クザヴィエ」と「ザビエ」と日本語表記があるけど、あれは日本人のミミにはXの発音が聞こえてしまう?聞こえない?からなのか。友達の息子がそういう名前だけど、本当はどっちなんだろ?あの子は「クザヴィエ」なのか
しらん?楽しい7月の公開映画。

子どもの名前を「はるの」にしようと思っていたのは(やめたけど)彼から名前をもらおうと思ったからだった。フランス語のHはサイレントなのだ。楽しみ!