ベルリン気質
外国にはあまり行ったことがないけれど、学生時代必死でバイトをして東西時代のベルリンへ行った。当時は占領国の空港から小型で飛んでいくか、列車で国境をドーナツ型に越える方法しかなかったが、私は飛行機でロンドンから飛んだけれど、往復で6万円はけっこう高かった。初めての海外だったので、それはもう緊張していて、でも無事に旅を終えて、ロンドンへの帰路、乗り合わせた老夫婦が困っていたので声をかけた。
「ヒースローで入国管理の書類はどうしたらいいのかしら?」
「パスポート番号をここに書くんですよ、それであとは書類の通りにチェックすればいいんだと思いますけど?」
「そうなの、でもその番号がないのよ」
「え?パスポート持っていないんですか?」
「ええ、私たちはベルリン市民なので、パスポートはもてないの、市民登録カードで入国審査をするんだと思うけど・・・。あなたは日本人?トウキョウはラッキーだったわね、占領っていっても本当に祖国と隔離されたりしなかったものね。以前は大変だったのよ、物資も西側からの空輸待ちで。」
言葉もない。そんな話初耳だった。確かに壁に囲まれた西ベルリンは、壁でカプセルのように西側の気楽な雰囲気をつつんでいる。東側から見ると、なんだか蜃気楼にようで街の色も建物もあまりにも異質だった。食べ物も、宿もずいぶん雰囲気が違うなとは思っていた。あきらめとプライドがないまぜになったようなベルリン気質の背景?東京の人と似ている。
東西が統合されて、どうなったのか?1日だけ寄るチャンスがあって、どうだったのか?滞在が短すぎてよくわからなかったけど、壁がなくなって道に迷った。あるはずの壁がなくて、どこだかわからなくなってしまったりして。
あれからずいぶんたって、首都としてよみがえったベルリンはどうなっているかしら?
少なくともUバーンでミッテに降りられるだけでも、嬉しいかもな。
ベルリンに行きたいと、ほとんど毎日思うけど、いかれない、お金も暇もない。
できたら一年くらいすんでみたいもんです。物価が高くなっているかな?
動物園のそばのちいさな宿がよかったな、なんていったっけか?