カラオケに凍りつく

両親と兄弟がカラオケ好き。それぞれボックスに入るなり、コード本にかじりついて唄う、唄う、大声で。というのを初体験した下の子は、まさに凍り付いて「家族」のふりをしていたエイリアンを見つめている・・といった風だった。

表情のない顔というのをする子だ。腕を折って、手術のあと痛かったり、熱が出たりしたときも、3日ほど無表情になっていた。危機に陥ると表情がさっとなくなるらしい。

しばらく凍り付いていた子どもは、まわりをさささと見渡し、無言無表情のままそばにあったタンバリンをたたき出した。その恐怖ともあきらめともつかないしらけきった顔と、あまりにも的確で素晴らしくビートに乗ったリズム感に、冷たい批判をかんじてゾワッとしたんですわ。「あんたたちは病気だ、あたしが悪魔を払ってあげるからねっ!」的な決意?クラッシュだろうが、景山ノブヒロだろうが、東京音頭だろうが、唄う家族にあわせて無言のままタンバリンを時計のように叩きつづける・・・怖い!彼女いわく「臭くて、狭くて、うるさいカラオケボックス」を出るなり「あーよかった、もう来るのはやめようね」って言われちゃった。

でも子どもは、いつも唄っていて、踊っていて、カラオケにさえいかなければ、陽気なお祭り子どもなのにね・・・。この人は映画館もだめなんだった。箱もの嫌い?