見上げたもんだよ

刷り込みとは恐ろしいものだ。

なにか大したことを目撃すると「見上げたもんだよ」と思い、心の中でさらに「屋根屋のふんどし」と続いてしまう。なんとかといえば・・・親も同然とかね。小さい頃末広の寄席で後半にすべりこむと、半額だっていうので、夜遅く父親につれていかれた。父はその父にしょっちゅう寄席に連れて行ってもらっていたのだそうだ。祖父の場合は、末っ子の父はお目付け役で、疑り深い祖母がよからぬところへ行かないように遊び好きの夫にスパイでつけていたらしい。気の強い祖母から逃れて、現実逃避に末息子を「うなぎ」で釣ってでも出かける祖父は、なんとなく哀れでかわいらしい人だと思う。でも、祖母がかくしておいた現金を、一度に今のお金で50万も持ち出して、一晩で使ってしまうとか、相当な放蕩ものでもあったようだ。

どう見てもいい男でもないし、甲斐性もなさそうなのに、余所に女性がいたらしい。しかも本宅のそばに住まわせていたという話もあり、なかなかやるじゃないの。

私の父はものすごく潔癖な人だ(と思う。)そう信じていた母は、新婚のある日父が「サウナ」に行くといったら、「よからぬお風呂」だと勘違いして、男というものは夫になると、そういうことまで平然と妻に宣言するのか!と激怒したらしい。顛末は知らない。実は、彼の場合、仕事で人生の半分は日本にいなかったので、旅の空で何をしていたのか、まったく不明。どこぞに毛色の違う兄弟がいてもおかしくないが、自分の父親の放蕩ぶりと、母親の怒りを見て育って、それもないだろうか。

私は、案外祖父の血を受け継いでいる。結局は何でも気分で決めている、ばれないように、ばれてる?本性がいい加減なので、ボロがでないように、ディテールを几帳面に。大泥棒がスピード違反をしないようなもの。

気づいてました?