庭を食らう

夫の母は、有言実行の人。60歳で運転免許をとり、海外にどんどん出かけていき、かっこよく自立した大人だ。女手ひとつで2人の子を大学まで出したんだから、できる限り元気に人生を謳歌してほしいと嫁ながら思ってしまうのだ。不義理な我々夫婦は、そういつも彼女のところへ出かけるわけではないし、彼女もいろいろ忙しく、あまり会わない。

けど、ときどき、なんとも味のあるものをくれるんだな。

今回は「かぼちゃ。」家庭菜園をするのよ、と前から言っていて去年はまるでジャングルみたいに家が「ゴウヤ」のツルに覆われていた。関東でゴウヤはうまくないらしく・・・やや失敗。今年はそれで「かぼちゃ」になったのらしい。大きな庭なのにかぼちゃは2つしか実をつけなかった。そのうちのひとつをくれたわけ。庭の栄養分では、2つのかぼちゃを養うのが精一杯だったのか。

巨大なそれを蒸してみたら、実の詰まった甘いかぼちゃだった。夫の生まれ育った土地の味がするような気がしてくる。というよりも庭そのものを食べているような気分に。赤ん坊だった夫が両の足で初めて立った土の味、さんざん遊んだなじみの庭の雰囲気を、母のかぼちゃがもっているような気がしてくる。

なんか、不思議なもんだね。