菊名のういちゃん

調味料の収集に横浜中華街へ行く途中、菊名を通った。
「見晴らしのいい丘の上のマンションの最上階だから、景色がいいよ。」と誘われていたんだけど、行かなかった有為子ちゃんのお家がある・・・はず?

ういちゃんとは大学で知り合った。しゃれじゃなくてなんとなく周囲から「ういている」かんじがする人。LA帰りのキコクシジョだったから?珍しいカーリーだったから?170センチ以上あるモデル体型だったから?

ういちゃんは、でもかわいい人だった。フリフリラブラブのうるわしき恋愛結婚の理想を語り、まだ見ぬ夫のことを「旦那さん」・・・と呼ぶ。カーリーの髪型は、ゆるんできたらだらしがないので、毎月クルクルに巻いているようにかけなおしていたり、LAで彼氏をベトナムの留学生に奪取されて、それいらいアオザイを見ると涙が出るとか・・・なんて可憐なんだろうか。ういちゃんの一番面白いところは、そうやって本心で乙女なことを言っているのに、やっていることがまるで別だということ。

まるで屈強の運命の女神が後ろにばっちりついていて、乙女な夢を見ようとする彼女をどんどん、違う、遠い、はるかな「道」へ連れ去ってしまうように、卒業したとおもったら、ロンドンにアンティーク家具のリストアを習いに留学してしまった。

ずっと会っていない。すごく会いたいし、一生忘れないような人だけど、そのくせ私もかなりの無責任、苗字をすっかり忘れてしまった。