犬が怖い

冬物語というビールのウェブシネマで、男が彼女の部屋にいくわけだが、期せずして彼女の部屋にはチワワがいる。うるんだ目をして、お洋服を着て・・・。

男は実は犬が怖い。ああ・・・かわいそうに、狭い部屋でどういうモチベーションで動くかわからない犬と同室しているというあの、恐怖。犬は男の体から立ち上る恐怖の匂いを嗅ぎ取り、完全に優位に立って、襲い掛からないまでも、からかうくらいはするに違いない。目を見てはいけない、気取られてしまう。

前に仕事でとある翻訳家の事務所に行った。自宅もかねた都内のマンションは豪華で、アンティークの細工家具があまりにも優雅な。舶来の紅茶をはさんでの打ち合わせが終わったころ、涼やかな鈴の音が・・・と、まるで「あら?お父様、お客様なの?」というかのように、麗しいチワワがドアのところにたたずんでいるじゃありませんか!その「サクラ様」は躊躇なくととととと・・・とこちらへやってくる。私は恐怖のあまり文字通り、カップより重いものを載せたことのないイタリア製の寄木細工のティーテーブルに飛び乗ってしまったのだった。そこから会社に戻るまでの記憶は、現在都合よく消去されているけれど。

犬のサイズとか種類には関係ないし、嫌いなどというおこがましいものではない。怖いのだからしょうがないじゃないか。犬より車道を選ぶ運命なのだ。あなたが普通の人なら、道でライオンに会ったと想像してもらえばわかる、ほどの恐怖。

他に怖いものは、お化け屋敷と、陰険な陰謀とウミウシ