ボタン屋の前で・・・

再開発の波が押し寄せているかんじのビルの谷間に、ひっそり残っている店舗の「ボタン屋率の高さ」は尋常じゃないんじゃないかと思う。少なくとも3件くらいは知っているもの。それは、装身具として「ボタン」の需要はとても大きいとは思うけれど、ただ一軒だけビルにされず・・・ということはそこだけ賃貸店舗ではない・・・持ちこたえるほどの経済力には疑問が残る。そんなにボタンの小売が儲かるならば、ユニクロだってレインズだってダマッテいないだろうし、表参道で局所的パリ
なフランスボタン屋だってそう儲かっているかんじはしないしなあ。

うずたかく積み重なった小さな紙箱の外側にはいろいろなボタン、ワイシャツや学ランやブレザーの地味なものから、ニンジンやアンパンマンの小さな子どもようまで、くっつけてあって、それ以外はいろいろな手芸の小間物とか、洋裁の請負とか・・・という商売なんじゃないのかなあ・・・大抵は上がりかまちみたいな奥に座敷があって、声をかけるとおばさんが出てくるかんじ・・・妙にきれいなおばさんだったりはするんだけど。ちょっと繁華街から外れた街で小間物屋をやっているのは、ワケありの人だったりするってことかもなあ・・・賃貸じゃないんだから。


と・・・思っていたら、すうっと真横にストレッチリムが停まった。後部座席のドアがあくと、どこからともなく黒服のガタイのいいオジサンが6人くらい出てきて、降りてきた人を囲み、口々に低音で「ゴゴーッス、ゴズ」とか言っている???何の呪文?「おつかれさまです」って言っているらしい?中心の人は、ストライブのダブルのスーツに毛皮の襟がついてロングコートを着て、王様みたいなかんじ、そのまま歩いて黒服ごと広島小料理という店の中に消えていった。

前を歩く人のかかとを踏むくせのある私は、ものすごく気をつけて、でもさりげなくそのグループを通りぬけることに成功して、いやあ、緊張したよ。