よくもまあ

フブキジュンが、子育てをしながらの仕事だと、7割くらいの準備で現場にいって、なんとかかんとかこなしていた時期があったって。よくもまあ、仕事をくれる人がいたものだって・・・もちろん、彼女は普通の人じゃない。アイドルだったし、なんかしらないけど、生来のあふれんばかりの女性らしいムードがある。しかも、主成分は母性なんじゃないかと思うし。母なのは、当然、くらいのかんじが周りにもあったろうな。子育ては役者にはプラスなこともあるってわけだ。

広告の仕事で前に組んだ人に「子どもがいることは秘密にしていろ」といわれたことがある。子持ちのライターを雇っていることがお客にわかると、顰蹙だというので。言われなくても、自分から白状するわけないじゃん。

だから、よくもまあ、である。次はないだろう、いつもひとつ仕事が終るたびに思う。そうだったこともあるし、そうじゃなかったこともある。

だって、子どもはいるし、い続ける。だって、生き物なんだから。その上、子持ち女を疎ましく思う人の同胞でさえある、幼いだけで。同胞の存在を疎ましく思ってはいけない。それは種にとって、壊滅的なセンスだと、母だから思うのか?

子どもがいる、ということに負けない強さがほしい、でもそんなに強くなってしまったら、母親としての適性がなくなる気もする。人生において、母がやさしくなかったら、誰もやさしくしてくれないもの。いつも迷ってばかりいて、前に進んでいるような、いないような。

まったく、狼男みたいなもんだよね。満月の夜は勘弁してね、っていうのと同じかも。しょうがないのよ、いろいろと。だめなら、いろいろ言わないで、黙って立ち去ってほしいものだわ、せめて。