バックシャンの風景

恵比寿の駅で前を行く人は佇まいの美しい人だった。ガーデンプレイスまでの道すがら、やむなくずっと後姿を追っていくことになってしまった。ついつい、するとはなしに細かく観察してしまうよねえ。

「彼女」は長くてカタチのいい脚をマイクロミニのスカートからにょっきりだしていて、ヒールの高いミュールをつっかけている。シャツのすそから背中のタトューが見え隠れ、矢が射抜いたハートにイニシャルみたいな。髪は、そのイニシャルの上をゆらゆらするくらいの長さで、ストレートのブラウン。サングラスをカチューシャ代わりにしていて、ヨーロッパ風だ。でもお尻のかんじがなんとなくカタいくて、東洋人だと思われる。

わずかに横を向いたときにわかったんだけど、頬骨が立った目の大きな、きつい顔立ち。前を歩いているから勝手に縮尺をしていたようだったのだが、他の人と並んだ信号前で気づいた。9頭身くらいなだけでなく、すごく長身、190センチくらいあるだろうか?

そんなに長身だなんて、すごい。美しい「彼女」は小脇に「あなたの居場所」という本を抱えている。こんなきれいな人も自分の居場所について悩んだりするんだろうか・・・しばらく考えてみると、やはり「彼女」は彼女じゃなかったのかもしれない。きれいな人って、性別関係ないんだろうなあ。

モデルさん?誰かの恋人?