バックシャンマニア

ゾディアックに影響されて、赤坂にあるZで始めるカフェZOKAで書き物をする。なかなか後姿のきれいな女性が窓に向かうカウンターに座って、仕事をしているのが見える。

今日のZは異様に込んでいて、年配の女性グループが注文したカフェラテ8杯がなかなか出ない。このカフェはすごくカジュアルなチェーン風なのだけれど、カフェラテが抜群に美味しい。400円出さずに飲めるものとしては、都内随一じゃないかしら。ミルクの温度が低めなので、乳糖の甘さがほんのり引き出され、まろやかなお味。カウンターの脇に縮こまって大人しく邪魔にならないように自分の番を待っていたら、すごくハンサムな、ジェイク・グレンホールみたいなバリスタが、手を何度も行き来させて、幾重にも重なって葉脈の美しいリーフをミルクの上に描いてくれる。明らかに前の8杯は輪郭の曖昧なハートのようなもの、だったので、ちょっとした特別扱いに嬉しくなった。「あなたを信じて待っていたよかったわ」という心境である。ここのパニーニも美味しい。パンがカリカリになるまで圧をかけてマシンで焼いてくれて、ターキーとゴーダのみ、具に味付けをしていないシンプルなホットサンド。これを食べると、真剣にデロンギホットサンドメーカーを買おうか?と思ってしまう。チェリーパイや、ジェリーケーキなどはあまりにもアメリカンなお菓子で、恐ろしくて試していないけど、どうかしらね?

先ほどの彼女はというと、掌サイズの小さな紙に、びっしりと書かれたメモを見ながら、ルーズリーフに何か書き付けている。よく見ると、ピンヒールのサンダルを脱いで、足がはだし。黒いスーツに足がはだし、すごくミスマッチ。痛いのかな、よほど。小柄な体つきに似合った、小さくてきれいな靴。

それにパールベージュのパシュミナのストールを持ち歩いているみたいだけど、寒がりなの?あるいは空調の違うオフィスを廻るような、寒暖の差が激しい仕事環境なのかもしれない。長い髪をよこっちょ結びにシュシュでゆるくまとめているのは、きっと人に会うときは、これをはずしてサラサラさせているんだろうなあ・・・。美人って苦労が多そうよね。