Loretta Lux

ロレッタ・ラックスLORETTA LUXの写真集には、どのページをひらいても魅了されてしまう。でもこのコドモたちは、どう考えても彼岸からこちらを見ているようにしか思えない。ずっと見つめていると意識が遠のいていきそうな、誘うように醒めた目をしている。

普通、コドモの目というのは、こんな色をしていない。必ず見つめ返す目には何か期待しているような光があるものだ。どんな子にでも。愛されようとする光。でも彼女の子どもたちには、それがない。どこか幽霊めいた、魂のないような、あるいは肉体のないような。さっきまでいた子の残像にすぎないような。一言いうなら不吉な。でも心ひかれる。エンジェリックだから?人間じゃないみたいで。

近くのコンビニでギャルソネが撮影をしていた。それを見た下のコドモ。「お母さん!大変だ!ギャルソネがテレビの外に出てきた!!」と大騒ぎ。相変わらずパンチの効いたことを言う子だ。

人の心が近づいたり、遠のいたりするのは、本当に小さなきっかけからなんだなと思う。どちらにせよ、弱い力でも、つながっていて、ひきあっているうちは、大丈夫。

気づかないくらい遠くから静かに手繰り寄せられること、愛に関する女としての憧れ、多分。