伯母が倒れた

伯母が倒れたという連絡が入り、病院へ行く。

高層の病室からは絵画館が見えて、窓の外は不似合いな夜景スポットになっている。しばらく会わない間に、伯母は80を超えていて、小さく老いてベットに眠っている。よく気の廻る神経の細かい、そのくせ女性にしてはずいぶんドライな雰囲気で、辛らつなことをしれっと言う癖のある、ユニークな人。親戚の中ではずば抜けて美しく、若いころは「なんとか小町」と言われていたそうだ。そういうところは似ていないけど、中身はよく似ている、と母が笑う。

「あなたはFおばさんとそっくりだから、ああいう老人になるわね。」こういう老人になるんだろうか?と眠っている伯母のそばでつらつらと考える。伯母がふと目を覚まし、私を見る。
「あら、○子ちゃんね。私も少しぼけているのと、耳が遠くて、ろれつが廻らないから、意思の疎通が難しいかもしれないわね。」「伯母さんの言うことはわかりますよ。大丈夫」うちのコドモのことを覚えていて、様子を聞く、それどころじゃないでしょ、あなたは倒れて間もないんだから・・・。

さみしくなって、スターバックスでコーヒーを買い、路肩に座り込んで飲む。晩秋の夕方は、冷えたホコリの匂いがして、しんしんと物哀しく身にしみる。

だからってわけじゃないけど、夜ごはんは細切れの牛肉にクワトロエピスと小麦粉をまぶしていためて、キャベツとマッシュルーム、キドニービーンズをホワイトソースでからめておいたのとグラチネにした私的ルーマニア風の肉料理。ヒジキとあげと人参を甘辛く煮て、水菜とトマト、すり胡麻と合えたサラダ、胡桃のパンと、赤ワインの夕飯。上の子はそれでは足りず、さらにフジッコでごはんを大盛り一杯。王林りんごのデザート。みんなよく食べるね。