相思相愛の難しさ

ダイ・シージエという人は、「小さな中国人のお針子」という小説を書いて、それを自分で映画にした。小さな中国のお針子 [DVD]もう20年以上もパリに住んでいる中国人。どうも中国人という人たちは、中国に住んでいるからというよりは、中国人のDNAが入っていることが大事なんだろうと・・・どこの国籍だろうと。しかもパリで暮らす中国人の感覚というのは、フランス人にも中国人にも説明のできないもので、だから全部自分でやってしまったのだろうか。次の小説は「フロイトの弟子と旅する長椅子」という妙な作品で、まだ読み終えない・・・こんど彼の新作「中国の植物学者の娘たち」という映画が公開されるようだ。彼の小説や映画には、同じ登場人物が違う役回りで出てきたりするのが、なんだか面白い。どこか実人生にも似ているようで。

ただ、まだ見てもいないけれど、禁止されていた同性愛に生きる女性カップルの話らしいんだけれど、愛を育てるって難しいよなあ。国家に反対されたり、迫害されたりするのは、社会的には半殺しだけれど、愛には強烈にエネルギーを与える。だから禁断の愛というのは、愛としては幸運な星まわりにあるのかもしれない。

穏やかな相思相愛、まるで平穏な海の上を満タンの燃料で、食糧もたっぷり、お天気も上々でたゆたゆと漂うような、そんなゆりかごの上で、ふたりで他愛ないことを穏やかに話し、静かにみつめ合っている・・・人はこういう至上の幸福にどのくらい耐えられるんだろうか?