今月の世界一好きな場所

デュラス、あなたは僕を本当に愛していたのですか
表参道の裏、キャットストリートからちょっと青山に上ったところにあるスタバの2階は、バックヤードの緑が窓にせまる、まるで個人の居間のよう。そこの角でソファに丸まって「ここは絶対にスタバじゃない。私のオフィスのソファなの」ごっこをする。ジムショが欲しい、でもないから自宅から45分かけて、グランデサイズのブレンドを買い、原稿を書いている。

今日はソファで、デュラスの38歳下の同居人ヤン・アンドレアの書いた彼女との16年をひたすら書いた本を読んだ。大向こうでは、彼女が若いツバメを独占したがって・・・という老婆の霍乱みたいなことになっているけれど、そうじゃなくて、彼が彼女を深く思いすぎ、愛憎相反する熱狂的な愛情をむけていたらしい、重苦しい熱愛の告白みたいな・・・崇拝?彼女が死んで、なかば狂ってしまった彼が立ち直るための告解の書?物書きも、上等な部類の人は、間違いなく変人だから、普通の神経だと一緒にいるのは、大変だっただろうし。

彼女には気軽な口をきけなかった、うっかりくだけた口調で話してしまったりすると、あきらかに口元がゆるみ、彼女が嬉しそうな様子になるのがわかった・・・とある。わかるな、それ。若い人といて、年上の女をずーっと余儀なくされていると、自分だけ敬語で扱われる。だからうっかりでも「ごめん」とか言われると、ふと甘い喜びに襲われる。ましてや38歳も下の若い男性じゃね。でも・・老婆の心がわかるようじゃ、私もヤキがまわっているか。

そんなのまでわかっていても、ヤンは彼女を喜ばせたりしない。あくまでも距離を保ち、よそよそしい敬語を使い続ける。残酷な距離。彼はどうしてもくだけた調子で話しかけらない、名前も呼べずにいる。彼女にうんざりして、一人になりたいと思い、でも彼女から離れられない・・・うーん相互依存?うーんフランスの男、わからない。

「戦争ノート」も読みたいな、5000円くらいするんで、考え中。