仏領インドシナ

夢で、もう3日もエレベーターに乗り続けている。

3Fを押すのに、エレベータはなぜかホリゾンタルに移動したりして、目的の階には到達しない。別棟の5Fとかについてしまう。降りると、そこは古いホテルの廊下。黴くさくて薄暗い。常夜灯が点滅している。どこといわず不自然な雰囲気の大きな人間たちが数人いて、私と一緒にエレベータを待っている。

「戦争ノート」を読んでいる。仏領インドシナで育ったデュラスが書き溜めていた草稿で、これをもとに「ラマン」とか「モデラート・カンタービレ」「インディア・ソング」などがが書かれているようだ。
愛人 ラマン (河出文庫)インディア・ソング (河出文庫)
15歳の彼女はアンナン人と恋をする。フランス人の彼女が愛した青年たちは現地人で、彼女よりもはるかに美点が多いのに、タブーゆえに関係を愛と呼べない。でも帰国する彼女は「愛しあっていると呼べる線にかなり近いところまで行ったと思っている」彼と別れることに動揺する。お互いに相手が相手であることを憎み、でも抵抗しきれずに想ってしまう苦悶。恋なんてしないほうがいい、事故だもの。彼女ならそういいそうだ。

自分の感情から自由になること、だから書かずにはいられないんだろうか。