TOKYO!オムニバスな東京

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レオス・カラックスの新作は、東京を襲うマンホールの怪人?大方の人類が共有しているであろう常識が通用しない異世界からやってきた理解不能な片目の男が、銀座の町にマンホールから唐突に這い出てきて、人を襲う、花を喰う、緑の服を着て。異相の異人は都会に似合うけれど、カラックスのアウトサイダーは神々しい。東京の地下に存在するらしいトンネルを棲みかにしている。東京のトポロジーは、前から面白いと思っていたけれど、世界の年季の入った都会というのは、穴だらけと相場が決まっているもんだ。大東京の地下99の謎―帝都の地底に隠された驚愕の事実 (二見文庫)新説 東京地下要塞 隠された巨大地下ネットワークの真実 (講談社+α文庫)

ミシェル・ゴンドリーもすごい作品を提供している。若いカップルが上京してきて、東京住まいの友達の家に居候するんだけど、だんだん居場所がなくなってきて、カップルの女の子の方にシュールな異変がおこる。異変の表現の仕方がちょっと『鉄男』っぽい突然な恐怖で、ぎょえぎょえ!でも、繊細な神経のやさしい女性が東京で生きる場所を見つけること・・・なんだかすごく難しい、でもウルトラCで落ち着き先を見つけちゃうの。この監督のアイディアにはいつもながら羽が生えている!って、参ったな!参りましたよ!東京の若者ライフのホノボノと身勝手を上手にブレンドしつつ、チクッとギコギコかわいい作品。タケシっていうその東京住まいの友達の彼、いかにもトウキョウ風の器用なカッコイイ男が、ヒドク冷たくてつまらない男に見えてしまった。この彼と上手に付き合えるソツのなさがないと、東京で上手に生きるのは難しいのかもな。しかしゴンドリー。東京住まいでもない監督が、どうしてこうまでズレずに東京の人の感覚がわかっているんだろうか!

ホン・ジュノの作品は「引きこもりのふたりが出会う方法」についての考察?蒼井優ちゃんが素敵、香川照之は神様みたい、小さなツタの絡まる家に棲んでいる小さな神様みたいで、ボタンの刺青は、やって見てもいいかなって思う。

外国人の監督が描くのは、エキゾチックアジアではない。世界のどこにでもある都市の、ここにしかないリアルなトウキョウの一面。

そういえば、白いヘビ皮っぽいウロコのついたとんがった靴、あれどこで見たんだっけ?




久々に「映画を見た」と思える110分だった。