うらなりの

胸の中に異物があるなと思う。

それはとても複雑な色合いをしていて、玉虫色とでもいうのか、憎しみのようでもあり、悲しみのようでもあり、愛のようでもある。わずかでも動かすと、涙がでる。なんだかわからないものなので、どうしたらいいかもわからない。放っておく。

放っておいたら、うらなりのへちまのような蔓をよろよろ伸ばして、それは明るいところを辿っていくかもしれない。そうしたら、その蔓を辿って、陽の差さない陰気な心の底から出るのだ。だから、それが力なく、光のない壁を這い登っていくのを、暗がりでぼんやりと眺めている。明るい地上に届くのがいつなのか、かなり気の長い話だ。