西部劇おばさん

「おかあさん、明日弁当忘れないでね。」と言われ、忘れてて!あわててスーパーに走る・・・そうだった、明日は給食がないのだ。

20時を回っていて、もう人もまばら。商品もまばら・・困った!とにかくパンとマスタードだけは確保。あとは常備菜のサンドイッチでお茶を濁すことに。常備しといてホントよかった。酢キャベツとラタトゥイユローストポーク・・・なんとなく大丈夫そう?

「え〜唐揚げとおにぎりがいい〜」ああ、言うと思った・・でも間に合わないんだもん。

で、レジでヌードのレンコンを握り締めた人を見かける。彼女はなぜかテンガロンハットをかぶり、カウガールみたいなマイクロミニにスパッツ姿。ミニを境界に違う人間を貼りあわせたみたいに、脚が細くて長い。上半身はすごく立派な女性だった。ぬっとレンコンを差し出し、「袋はいらねえよ。」という。「480円です」といわれ、カウンターに小銭をじゃらっと投げ出す・・・か、かっこいい。

そしてカウガールは頭の中でボトルネックギターを哀しい音色で泣かせながら、どすんどすんと出口に向かうのだ・・・ああシェーンかむばっく。

それだけじゃないよ。外はすぐ甲州街道に続く大通り、昼間は交通量が多い。調度スーパーのまん前が横断歩道になっているわけだが、夜なので、あまり車の往来もない。なんとなく「しん・・」としている横断歩道前で、彼女は夜道にピューっと口笛を響かせ、赤信号にかまわず、片手のヌードのレンコンをもったまま、ハードボイルドに道を渡っていく・・・あらくれ荒野に赤信号なんて無用だぜ・・・。