ジャングルキッズ

「おかあさん!シロテテナガザルが鳴いてる!」そう叫ぶなり、コドモが東門から走り出し、象舎には目もくれず、虎とゴリラの森を駆け抜ける・・・そして奥まったところにあるブースに。確かに目の前で、白い手をしたテナガザルが口をひし形にあけて「ほーっほーっ」と高い声で鳴いていた。
「遠くまで聞こえるんだ!前にここで録音テープを聞いて、声を覚えていたからすぐわかった、本当の吠え声って大きくて遠くても聞こえるんだね!!!」上気した顔でそれは嬉しそうに。「アヴェマリアみたいね、お母さんもあんな風に歌えばいいんだよ、唄みたいだモン、高くてきれいな声だもん!」サルよりへたくそで悪うござんしたね。

それから「日本の野鳥」へ戻り、ふくろうの「五郎ちゃん」と長らくふれあい遊びをしたり、ボランティアの人に野鳥の風きりばねの仕組みを習ったり・・・熊で1時間、ゴリラと虎で1時間・・・なかなかモノレールには乗れない。西園についたら15時をまわっていて、それから閉園まで2時間びっちり、コドモ動物園でやぎを追いかけたり、鶏を抱いてみたり。ツチブタの餌やりを延々ながめ、鼠を確認して・・・「閉園です。門を閉めますよ。」といわれても「あとオカピのぴっぴだけ!」とかいってダッシュ!内気だけどリレーの選手なので、風のように・・・速い、追いつかん!
東門で叫んでから7時間、歩きっぱなし、興奮の連続、本当に本当に死ぬほど動物園が好きな子で・・・こんなのに毎月付き合っているわけで、親も上野動物園に詳しくなってしまって。もちろん脇には小学館の「動物図鑑」を抱えていて、ブースごとに生態やら種目やらを確認し、飼育係の人を目ざとく見つけては、質問ぜめにする・・・。

普段この子はシャイで内気で感受性ばかり強くて、学校でいつも目に涙をためているような子なのに、動物園では人が変わる。だから、そんなに好きなら、連れていってあげなくちゃって思うわけだけれど、毎度開園〜閉園まで容赦なく7時間・・・冬は寒いです!