ストイックな窓

さいころずっと過ごした、冬になるとカンカンなるようなスチームのヒータのある古い建物を思い出す。木枠の窓と、冷え冷えとした床、猫脚の古い家具、壁一面の大人の書物。そういう禁欲的な雰囲気の洋室にいい訳のようにおかれたミルク色のスチールのベビーベット。私が3歳まで寝かされていた、牢獄のような寝床。

ようやく最終日のハンマースホイに行ってきた。年代を追って、彼の作品が初期から晩年まで展示されていて、全部を見ると、なんとなくさみしい気持ちになる。50代でなくなった画家の人生は、そんなにさみしくはなかったし、評価もされて、生活だって豊かだったみたいだし、でも。

本人は、すごく繊細で内気だったらしい。

きれいな妹と、そうきれいではない妻と、暮らすふしぎな生活。

そしてひと気のいない部屋を描いて、デンマーク絵画に光を投じる。

まさしく北欧の弱弱しい、消え入りそうな太陽の光で。

日本でも12月の初旬から2月の半ばくらいにかけて、凍るように気温の低い、でも雪になるほどの湿度のない、もどかしい晴れ方をした冬の日中。

深々と寒くて、さみしいあの、かんじですよ。