不浄な空気に反応する

暇があれば、学校で習ったとおりにトイレを磨く。

私の母校は、なにしろ掃除スキルが育つ。在学中はとにかく掃除をしなくてはならない。いろいろ合わないところがあったけれど、でもここだけはすばらしいといえる。だってあそこを卒業していれば、大理石を磨くビル掃除用の電動丸ブラシも、真鍮みがきも扱えて、手抜きができない「刷り込み」と元来の生真面目な性質と技術で、手足が動く限り、リッパな掃除夫として喰っていけるんだもの。

で、トイレは過酸化水素水をブラシであわ立てて掃除するわけだ。子どもが便器をなめても大丈夫なくらい清潔なトイレを目指しているの・・・暇があればね。だからいつもまあまあきれいで、無臭なトイレなんだけど、数週間何度掃除をしても、なんとなく「穢れた」かんじがする。神経症かもな?と思ったけれど、でもトイレに何かがある・・・またもや泡だらけになりつつ、掃除をしてみても、なんかきれいにならない、清められたかんじがない。

ふと、トイレの水道管のところを見たら、虫が死んでいた。あ、これだ。これがいたからなんとなーく言葉にならないような不浄なかんじがしていたのだった・・・失礼して取り除いてしまったら、もうあのなんとなく「不浄」なかんじの空気が消えた。

小さなコガネムシがトイレの片隅で死んでいるのを、なんとなくわかってしまう。これも学校に植えつけられた潔癖症のせいなんだろうか。