あたしの頭はバカ袋

「また、考えすぎてドツボにはまるパターンだろ?はい、もうおしまい。ひきとるよ、いいね?」
はい、了解。もう抵抗しないのだ、あなたのおっしゃるとおり。

あるレベルまでは、なんとかごまかしがきく、利口なふりもできる。でもときどきどうしようもなく
本性をさらしてしまう・・・つまり頭が悪いことがばれちゃうわけだ。

なんだろ?いつもそうなんだけど、私はいつも何事にも考えすぎてしまうそうだ。そうだ、というのは、自分ではまったく考えが足りないという実感しかなく、現実には、やはり考えておくべき方向性がいつも、かならず、まちがいなく、人より激しくズレている。ボケを狙っていたりするわけでは絶対になく、どんなにアンテナを張っているつもりで、かならず間違った方向にはまり込んでしまっている。

自分の考えから外に出られなくなってしまうのは、やっぱりバカだからなんだろうなって思う。

以前、倉庫の壁にペンキ絵を描くことがあった。巨大な面に巨大な顔を描いていた。でもある日行き過ぎてしまったようだ。その一点までは依頼主も「迫力だ、君らしいね」と褒めてくれたんだけど、君は描いてはいけない線を描いてしまったね、あとで言われた。あの線を描かなかったら、よかったのに、どうして描いてしまったのだ、と・・・一時が万事そうなんだと思う。

私には全く能力がないわけではない。ただ、ひとりでは、それが「良いのか」「悪いのか」わからないということなのだろうと思う。そういう「機能」がついていないのだ。でも、つまりは自分の中の「良いもの」を選び出し、演出して人に評価されるというのが、本来人間社会における才能というものなのだと思う。だから、雑多に玉石混合の能力をもっていたとしても、それはつまりなにもないのと同じということだ。選べない時点で、行き過ぎてしまう時点で、方向性が違う時点で、私は選択の神に嫌われているのだ。

どこかに、私のバカ袋の中をすっかり机に空けて、これはいらない、これはいるってきれいに中身を整理してくれる人はいないかしらと思う。そういう人が見つかったら、生きるのがだいぶ楽になるんだろうなあ。