村上!ほんと災難だったなあ・・・

今日は仏具屋さんと位牌の相談。浅草橋の店でそうかな?と思ったらやっぱ「山口もえ」の実家だった。
仏具屋さんはなにやら噺家さんみたいな雰囲気で、座敷にあがるなり仏さんにお線香。さすがその道の人だけにそつなくこなす。やにわに野太い声で般若経を唱えだした。ひえええ・・・仏具屋さん!そうしたらば、仏壇というものは、古いものをお炊き上げするのに、魂抜きというのをするそうで、法華経なりなんなりお経を唱えられないと勤まらないらしい。でも法華経は4ページだからねえ、こう暑いとねえ・・・関係あるのか。

「私はもともとが坊主でしてねえ・・・」ここから位牌の話にたどりつくまで小一時間、話し好きなおじさんに抗体のない父と私は、延々仏具屋さんのミラクルな半生を一緒に振り返ることに。仏教系の大学を出てから比叡山に入山して1年くらい修行をすると、一応住職が務まるらしい。お寺というのは一応お山から借受るものだそうで、跡取りがいないと山に返さなくてはならず、あとからきた住職に身包みはがれてしまうんだそうで、どのお寺も養子なりをとって、かならず引退後の体制を確保するものらしい。しかして修行済坊主でお寺のない場合は、新任で行くのか、どこかの寺の娘んところに養子にいくのが定石。

「ところが村上がですねえ・・」誰?それは?唐突に固有名詞が出てくる。村上は大変だったのだ。入るお寺がないまま10年も山を下れず比叡山にいたんだけど、ようやく行くあてが決まってみたら北海道のウス山のふもとで、赴任するなり噴火!灰だらけで住めなくなってしまって・・・「いやあ村上、お前は運がないなあ!っていってやったんですよお。」そうですか。

ようやく位牌の話になると、ものの10分で話がついてしまった。もともとはそんなようなことなのだ。でも、仏具屋さんもいろいろ商売だから、たまにしかあわないような用事でも「じゃあこないだの仏具屋さんに」ってなんかのときに思い出してもらえるように「人間味」でマーキングしておく・・・営業っていうんだね、多分。