雨の軒下

雨が降っている中途半端な午後、どこともいえない場所で、おにぎりを買って、コンビニの軒下で食べる。
6月の湿った雨は埃臭い、塩辛い冷たいおにぎりだけど、食べることはできる・・・生きることができるみたいに。

40を過ぎてなんの組織にも属してなくて、ただの口約束だけで仕事をしている、それも20年以上。私はなんて流れ者で、なんて浮き草なんだろうかと、仕事の節目を見るごとにメランコリックになってしまう。

意地とプライドで冷たい顔をして部屋を出ていくけれど、ドアまでの数歩で男に呼び止めてもらえなかったら、前の川に身投げをするような、そういう絶望的な本質を、こういう暑い湿った季節には抑えこめないと思うことがある。時に腕のある仕事をする!かなり男勝りな自分の中に息づく「いかにも女」という部分が、そういう面倒くさいところに集中しているのには閉口する。