眞嶋秀和

NHKのドラマの「白洲次郎」はよくできていた。21世紀の気取ったキャストでは、ちゃんと演じられないほど、実人物がスノブで美的だったのが、皮肉だ。ああいう家庭は冷たい。そんなに人情味がなくて、日本人としてどうなの?と思うくらい冷淡なエピソード満載。切り捨てるものを明らかに間違っている。ああいう人のあのゾッとする冷たさは伊勢谷君にはわかるまい。明治初期に西洋医になった曾祖父はまさにそう。畳のない洋館に住み、数ヶ国語を操る美男。白洲次郎をみると、古い写真の顔を連想する。そして曾祖父の作ったバッタもんの西洋式家庭で、他人に育てられた祖父と、甲府の山の中で育った憂鬱な祖母の間に生まれた父の娘が私。


そのドラマでハイエナみたいな新聞記者の役をやっていて、気になってしまったの。どこで生きても、何度名前を変えても、身分証さえなくても、生きるスペースを確保できるような屈強さに、ひきつけられる。ただ、そんなハンディの多い男の人生は、相当不完全で、一緒に行くなら相当な胆力がいるだろうけれど。いかにも大陸的でなんとなく気骨がある雰囲気・・・東洋の男:汎用型ってかんじの鋼のような細マッチョ。曲者っぽい眞島秀和が好き。実寸より小柄に見える、エネルギーが中心に縮まっているような。とはいえ、こういうタイプと出会っても、なんというか、男女として通いようがないというか、そもそも仕様が違うというか、コンセントが違う。海外に日本の電化製品もってってアダプターがない、かんじ。

ジャングルにいる小さめの肉食獣のようなかんじで、そもそもがありふれた家猫めいた私とはかかわりようがない。